空蝉外れ
1:[トリカゴ](1/26)

「お、お願いだ! やめてくれっ……やめ」


言葉はそこで途切れ、刑務所で知り合った男の首がボテッと地面に転がる。


頭部を失くしたからだは、力なく倒れ込んだ。


「うふふ」


男の首を大事そうに抱え、上機嫌に笑うのはまだ小さな少女。


その隣には、同じ背丈の少年。


辺りは同様の首切り死体で惨然としていた。


「お前らイカレてる……!」


俺は数歩後ずさりして言った。


「あら、お兄さんもじゃないの?」


少女は笑みを浮かべたまま俺を見据える。


その目は、怯える俺の様子を心底楽しんでいた。


「強盗殺人……」


傍らの少年が、静かに俺の罪状を呟く。


そう、俺は先ほどまでいた刑務所では人殺しと恐れられていた存在。


世間では凶悪犯罪者として認知されていた。


だから、『ここ』に送られても生き抜く自信はあったんだ。


「冗談じゃねぇ……」


レベルが違いすぎる。


この、『トリカゴ』では……


少女はゆっくりと俺の方に歩み寄って来る。


手には何人もの首を刎ねた鎌。


俺は諦めたようにしゃがみこみ、天井を見つめた。


「お兄さんの首、大事にするからね?」


少女はクスリと笑う。


そして鎌は、新たな生け贄の血を吸った。


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